【プロ監修】ユーティリティの飛距離はどれくらい?クラブの選び方と打ち方を徹底解説
ユーティリティは“アイアンとウッドの良いとこ取りのクラブ”と耳にしたことはありませんか?
例えば、「ウッドが苦手でもアイアンのように打てる」「アイアンで出すのは厳しい距離をユーティリティでは楽にだせる。」などユーティリティを絶賛する声を良く耳にします。
しかし、他人が良いと言っても実際の飛距離や使い勝手などを把握していなければ、使うかどうかの判断もできません。
この記事では、ユーティリティの飛距離など基本を紹介したうえで、選び方や打ち方などを解説します。
目次
ユーティリティで飛距離を出すために基本を知ろう!
ここでは、ユーティリティについて、どのようなクラブなのかを他クラブと比較しながら紹介しましょう。
ユーティリティはフェアウェイウッドとアイアンのハイブリッド
ユーティリティは 難易度の高いロングアイアンの代わりとして開発され、ミドルアイアンを打つ感覚で簡単にロングアイアンの距離を出せるクラブ です。また、ミドルアイアンとフェアウェイウッドの中間の距離を埋める役割でも使われます。
フェアウェイウッドとアイアンの中間的な機能を持つことから「ハイブリッド」とも呼ばれる幅広い層に愛用されているクラブです。扱いやすいため、ロングアイアンを苦手とするゴルファーが代わりにユーティリティを使うことも少なくありません。
- ロングアイアンの距離が簡単に打てる
- ウッドとアイアンの中間の距離を埋める
- ウッドとアイアンの中間機能を持ちハイブリッドとも呼ばれる
ユーティリティとウッドの違い
ユーティリティとフェアウェイウッドの おもな違いはシャフトの長さ です。
UTはFWにくらべ、シャフトが若干短くロフト角も多めに設定されています。
そのため、FWは飛距離を稼ぐのには適しているもののコントロール性はやや低い一方で、UTはFWほどの飛距離を稼ぐことはできませんが、コントロール性が高いといえます。そのため、ある程度の飛距離は出るがFWよりも操作性が高いため、使い勝手の良いクラブといえます。
シャフトが短い分ボールに近づいてアドレスを取れるので、ユーティリティはアイアン感覚でやさしく打てます。
また、ユーティリティは重心が浅くボールを上げやすいので、フェアウェイウッドでは上げづらいライでもボールを上げやすくできるのがメリットです。
ユーティリティについては以下の記事もチェックしてください
ウッド型ユーティリティとアイアン型ユーティリティの違い
ユーティリティには「ウッド型」と「アイアン型」の2種類があります。ここでは、それぞれの違いや特徴を解説しましょう。
ウッド型ユーティリティはボールが上がりやすい
ウッド型のユーティリティは、地面に設置するソール部が広く奥行きがあり、重心が深く設計されているため、ダフりづらく、軽いラフからでも球を拾いやすく、かつ上げやすい特徴があります。そのため、 ロングアイアンが苦手、ウェアウェイウッドでボールを上げられない、などのゴルファーに向いている 型です。
アイアン寄りのダウンブローと、フェアウェイウッド寄りの払い打ち、これらの中間くらいのスイングで簡単にボールを上げられますが、シャフトが短い分、どちらかと言えばアイアンの打ち込むスイングをイメージするとボールを捕まえやくなります。
アイアン型と比べると、安定して高弾道で距離を出しやすい設計の型です。
- ソールが広いためダフりづらい
- ボールを捕まえやすく上げやすい。軽いラフにも対応可能
- アイアンとウッドの中間くらいの打ち方
- 距離を出しやすい設計
アイアン型ユーティリティは低弾道で強く飛ばせる
アイアン型のユーティリティは、 アイアンよりもヘッドの幅が広く設計されているので、ロングアイアンよりも当たりに対する許容性が高く作られているクラブ です。
アイアンのようにダウンブローを強く意識しなくても捕まえられるので、払い打ちのイメージを加えるとさらに上手く打てます。
重心が高いので弾道は低めですが、中弾道の強いフェードボールを打てるので、ラインを出して狙いたい時や、強い弾道が打ちたいゴルファーに向いています。
また、ウッド型と比べると、強い弾道でコントロールしやすい設計の型です。
- アイアンよりヘッド幅が広くミスに強い
- ダウンブローよりも払い打ちのイメージが適している。
- 強い弾道でコントロールしやすい設計
ユーティリティと他のクラブはどう違う?ゴルフクラブ別に特徴を解説
ここでは、ユーティリティと、そのほかのクラブの違いの解説から、ユーティリティがどの場面で有用なクラブなのかなど、参考にしてください。
ミスが出にくい「ユーティリティ」
ユーティリティは、フェアウェイウッドやロングアイアン程度の飛距離も出せます。ユーティリティの 特徴は、ミスなく打ちやすいこと です。このことからフェアウェイウッドやロングアイアンが苦手なゴルファーに有用なクラブということがわかります
最も飛距離が稼げる「ドライバー」
ドライバーはミドルやロングホールでのティーショットに使用し、 飛ばすことを目的としたクラブで、最も飛距離を稼げるクラブ です。
ユーティリティよりも飛距離が出る「フェアウェイウッド」
フェアウェイウッドは、 ユーティリティよりも飛距離が出るクラブ です。 仮に男性用の5番Wのロフト角が18度、2番ユーティリティのロフト角が18または19度とした場合、ロフト角が同一だったとしてもユーティリティのほうが飛ばないため、使いやすいことがわかります。
ユーティリティと同等の飛距離が稼げる「ロングアイアン」
ユーティリティとほぼ同じ平均飛距離となることから、 ロングアイアンが苦手なゴルファーにとってユーティリティは有用なクラブ であることがわかります。 また、昨今はロングアイアンがほとんど使われていません。それだけ、ユーティリティは打ちやすいクラブなのです。
あなたが打ったユーティリティの飛距離とヘッドスピードを知る方法!
ゴルフをしていると、自分が打った球がどれくらい飛んでいるのか気になるものです。ここでは、簡易的にユーティリティの飛距離とヘッドスピードを知る方法を説明します。
ユーティリティの飛距離の計算方法
飛距離の目安は「ボール初速×4」で計算できます。また、ミート率の目安は「ボール初速÷ヘッドスピード」で求めることが可能です。
例として、ボール初速55m/s、ヘッドスピード40m/sで計算してみましょう。
- 飛距離
55 × 4 = 220 飛距離220yard - ミート率
55 ÷ 40 = 13.7 ミート率13.7
※一般的なゴルファーのミート率は1.3前後とされています
ユーティリティの飛距離は測定器でもチェックできる
測定器を使えば、ユーティリティで出せる飛距離やヘッドスピードを簡単に客観視できます。
1万円台で購入できる「ゴルフ スイングトレーナー ユピテル」は、飛距離のほか、ヘッドスピードやボールスピード、ミート率を同時表示するため一目瞭然。ウッド、ユーティリティ、アイアン、ウェッジ、パターを測定可能です。
ユーティリティで飛距離が出ない理由
ユーティリティで飛距離が出ないのには理由があります。ここでは、3つの原因について解説するので参考にしてください。
【ユーティリティで飛距離が出ない理由1】スイングイメージがブレている
スイングイメージがブレていては飛距離を稼げません。
ユーティリティは、 フェアウェイウッドとアイアンの中間という意識が強すぎると、どちらかの打ち方を繰り返してしまいスイングが固まらずミスを重ねてしまう 場合があります。
また、ソール面が広くボールが上がりやすい設計にも関わらず、「ダウンブローで打つべきだ」や「払い打ちが正しい打ち方だ」など、さまざまな意見に迷ってしまい上手く使いこなせないケースも少なくありません。
このように、他人の意見や迷いからミスを繰り返し、ユーティリティに苦手意識を持つことで飛距離を出せないこともあるのです。また、自分が最もしっくりくるクラブ軌道をみつけることが大切です。
【ユーティリティで飛距離が出ない理由2】ヘッドスピードが足りない
そもそも ヘッドスピードが足りないため、ユーティリティで飛距離が出ないケースも あります。
ユーティリティに限ったことではありませんが、ヘッドスピードが速ければ速いほど飛距離は出せます。そのため、腕を力いっぱい振り回せばヘッドスピードが速くなり、飛距離も出ると考えるゴルファーも少なくありません。
しかし、腕に力を入れて振ると体の回転によるスイングできなくなります。結果、腕だけで振るためヘッドスピードは上がるどころか下がってしまい、飛距離も出せなくなるのです。
【ユーティリティで飛距離が出ない理由3】シャフトに原因がある可能性も
シャフトの重さや硬さに原因があり、飛距離を出せない可能性があります。
ゴルフクラブは、 ドライバーがもっとも長く軽いクラブで、番手が下がるごとに短く重くなるようにバランスを取れているのが一般的 です。このシャフトバランスを合わせずに適当に選んでしまうと、打ちにくさを感じ飛距離を出せなくなる可能性があります。
また、軽すぎてミスが出るケースもあります。例えば、アイアンの感覚で打ちたいのに、スチールではなくカーボンシャフトを入れているなど、スイングイメージと合わないシャフトを使っている可能性もあります。
飛距離を出すユーティリティの使い方
ここでは、前段「ユーティリティで飛距離が出ない理由」の内容を踏まえ、ユーティリティで飛距離を出すための打ち方を紹介します。
飛距離を出すためにスイングイメージを固める
自分の 得意なクラブに合わせてアドレスを取り、スイングイメージを固めることが大切 です。
前章で飛距離が出ない原因は「ウッドとアイアン、どちらかの打ち方を繰り返してしまいスイングが固まらずミ飛距離が出ない」と説明しました。
このようなスイングのブレをなくすため、アイアンが得意なら若干ハンドファーストを強め、ダウンブローでスイングできるアドレスを作ります。反対にフェアウェイウッドが得意ならさらっと払うような意識でスイングしましょう。
- アイアンが得意ならダウンブローアドレス
- フェアウェイウッドが得意ならさらっと払うようなイメージ
飛距離を出すためにヘッドスピードを上げる
飛距離を出すためにはヘッドスピードを無視できません。腕の力だけで振るのではなく、 上半身をしっかり捻転させるスイングでヘッドスピードを効率的に上げる 必要があります。
タオルを使ったヘッドスピードを上げる練習方法を紹介しましょう。
- タオルの先端を結びクラブヘッドに見立てる
- タオルの結びが後につられてくるイメージで体の回転を意識した素振りをする
腕だけのスイングでは、タオルの結びが上手く走ってくれません。タオルの結びがスムーズに動くように繰り返し練習することで、ヘッドスピードを効率良く上げるスイングができあがります。
しかし、体を回転させる意識が強すぎてクラブをインサイドに引いてしまうとミスショットの原因になるので注意しましょう。
飛距離を出すためにクラブを見直す
飛距離が出ないなら、クラブを見直す必要があるかもしれません。
ヘッドスピードが遅くて飛距離が出ないなら、柔めのカーボンシャフトを入れるなど検討しましょう。
シャフトを柔らかめにすることでしなりを利用して弾道や飛距離をアップすることも可能です。
ほかにクラブセッティングを変更する方法もあります。例えば、フェアウェイウッドやロングアイアンが苦手なら、代わりにアイアン系やウッド系のユーティリティを入れるなども検討しましょう。
- ロフト角やシャフトの変更を検討
- クラブセッティングの効率化
飛距離を出すためのユーティリティの選び方
ユーティリティで飛距離を出すには、自分に合ったクラブを新しく購入する方法も有効です。ここでは、自分にマッチしたユーティリティの選び方を紹介します。
ユーティリティを使うときに意識している「ウッドとアイアンで出せない距離を補う」「苦手クラブで出せない距離を補う」などのポイントをふまえて選びましょう。
ユーティリティ打ち方で飛距離を出すにはロフト角で選ぶ
ウッドやアイアンで 打てない距離を補いたい場合は、使用中のフェアウェイウッドとアイアンの中間のロフト角のユーティリティを選ぶのがポイント です。
例えば、5番ウッドが18度で、5番アイアンが25度なら、ユーティリティは20、23度の2本を選択し、打てない距離を補いやすくします。目安は、ウッドより2~4度高く、アイアンより2~4度低いものを選ぶことです。ユーティリティ同士は3~4度の差をつけるようにします。
また、ユーティリティは、U4やU5など番手はありますが、メーカーによって番手によるロフト角は異なります。購入の際には番手ではなく、ロフト角を確認しましょう。
- ウッドより2~4度高く、アイアンより2~4度低いロフト角を選ぶ
- ユーティリティ同士は3~4度の差をつける
- 番手はメーカーによって違うためロフト角を確認する
ユーティリティ打ち方で飛距離を出すにはヘッド形状で選ぶ
ユーティリティは ヘッド形状も選ぶポイント になります。
ユーティリティにはウッド型とアイアン型の2種類あり、ウッド型の方がヘッドは大きく打ちやすい形状です。アドレス時に安心感があるのはウッド型、アイアンのように打ちたいならアイアン型が目安になります。
同じシリーズで選ぶ
クラブの 同シリーズのユーティリティを使う方法もポイント です。
ウッドやアイアンなどシリーズがあるクラブでは、ユーティリティも販売しています。同シリーズなら、重さと長さのバランスやヘッドの形状、振り心地などが統一されているので扱いやすくなります。使用中のウッドやアイアンが使いやすく感じている場合は、同じラインのユーティリティを選ぶとよいでしょう。
シリーズを揃えられない場合は、最低でも重量バランスくらいは意識して選びましょう。
- 同シリーズはバランスが良い
- 揃えないなら重量だけでも意識して選択
ユーティリティ打ち方で飛距離を出すにはFP値で選ぶ
FP値とは、 シャフトの延長線からリーディングエッジまでの距離を「+○○mm」など数値で表したもの です。
通称「出っ歯」と呼ばれるFP値の大きいユーティリティは、ボールを拾いやすく上げやすいのでレベルブローで打ちやすくなります。反対にFP値が小さいとダウンブローで捕まえやすく強い弾道のボールが打ちやすいのが特徴です。
それぞれ、自分がスイングしやすいFP値も意識して選択しましょう。
- FP値が大きいとレベルブローで打ちやすい
- FP値が小さいとダウンブローが打ちやすい
ユーティリティで飛距離を出すための練習動画
ここでは、ユーティリティで飛距離を出すためのドリル動画を紹介します。動画を参考に、飛距離が出るユーティリティの打ち方をマスターしましょう。
ユーティリティで飛距離を出せる打ち方
ユーティリティでやさしく飛距離を出すためのコツを紹介したドリル動画です。
- 払い打ちを意識して失敗している人が多い
- ハンドファースト、ダウンブローでないとクラブは機能しない
- 構えでソールが地面に接地する状態を作る
- ボール位置は左かかと線上、スタンスは足3つ分程度
- グリップを短くし大振りを防ぎ、しっかり打ち込む
ユーティリティでクリーンヒットして飛距離を出す練習ドリル
ユーティリティでクリーンヒットさせるポイントを紹介したドリル動画です。
- 打ち込まない方がクリーンヒットできる
- 大きなソールを使い横からクリーンに打つのがポイント
- インパクト時、右腰より左腰が高いのが理想
ユーティリティで飛距離を出しつつグリーンを狙う打ち方
180ヤードの距離をユーティリティで乗せるコツを紹介したドリル動画です。
- ピンをダイレクトに狙わず広い方を狙うのがポイント
- 自分の持ち球傾向も考慮して狙う
- ミートを意識した方が効率的にボールがつかまる
- ボール位置はFWよりボール1個分内側
- 上半身を柔らかく体を回転させ手が自然に上がる位置まで上げる
- 重さを感じた位置で切り返す
ユーティリティの飛距離を把握し自分に合ったクラブを選びましょう!
ユーティリティは、ウッドとアイアンでは出せない距離を埋めたり、苦手クラブで出せない距離を補ったりなどスコアアップに欠かせないクラブです。
しかしいくら便利なクラブといっても、ヘッド形状や重さ、打ち方などが自分に合っていなければ飛距離は伸びません。
この記事を参考に、自分にマッチしたユーティリティを把握しスコアアップを目指しましょう!
この記事を監修したプロゴルファー
樋口 健太郎
1991年10月2日、京都生まれ。父の勧めで小学校低学年から地元のゴルフスクールに通い始める。スポーツ推薦で千葉学芸高校から立命館大学へ進学。7年間体育会ゴルフ部でゴルフの技術とゴルフを通した人格形成を学ぶ。2016年、PGAプロテストに合格し、現在は出場権のある試合に出場し、並行してコースデビューからアスリートゴルファーまで幅広いレベルのゴルファーにレッスンを行なっている。大切にしていることは、まずはゴルフを楽しむこと。レッスンの面では確率やデータ、試合での経験に基づき、効率よくスコアアップのお手伝いをすること。
■使用クラブ
ドライバー テーラーメイドM4
FW キャロウェイ XR
UT AKIRA 21° 18°
アイアン AKIRA KS301
52°58° AKIRA 8シリーズ
パター スコッティキャメロン
使用ボール スリクソン zstarXV